世界のインディペンデント・アニメーション2015(神戸・京都)

世界を舞台に活躍する若手作家の創造性に触れる!
文化庁招へいの新進気鋭のアニメーション作家によるトークと上映に加え、
注目すべきアジア圏6作家の特集上映!

世界のアニメーション映画祭では優れたインディペンデント・アニメーションを集めたコンペティション部門はその映画祭の花形ですが、一般的にはそうした作品を紹介する機会は限られています。「世界のインディペンデント・アニメーション 2015」は、「アニメーション・アーティスト・イン・レジデンス東京 2015」(A-AIR2015)で招へいした世界の気鋭のアニメーション・クリエイターを紹介するとともに、近年各国の映画祭でその存在感が増しつつあるアジアの注目すべき6作家の特集プログラムを組み、世界のインディペンデント・アニメーションの最新動向を上映とトークによって紹介します。

「アニメーション・アーティスト・イン・レジデンス東京」(A-AIR)とは?

本プロジェクトは、文化庁が主催をする「海外メディア芸術クリエイター招へい事業」として、世界から若手の優秀なアニメーション・クリエイターを東京に招へいし、日本のアニメーション文化に触れながら、作品を制作する機会を提供するアーティスト・イン・レジデンス・プロジェクト です。優れた作品の成果を促すとともに、日本のアニメーション作家との交流機会も提供し、メディア芸術における国際交流の推進を図ることを目的として、2010年から毎年実施しています。本年度は世界61カ国から250件の応募があり、オーストラリアから1名、ロシアから2名が選ばれました。


プログラム

(神戸・京都共通。イベント終了後、交流会を予定しています。)

イントロダクション
海外メディア芸術クリエイター招へい事業
「アニメーション・アーティスト・イン・レジデンス東京 2015」について
佐伯知紀(文化庁主任芸術文化調査官)

第一部 A-AIR2015 招へいクリエイター上映&トーク
(作品解説/オーストラリアとロシアのアニメーション小史)

ファントム・リム』 アレックス・グリッグ(オーストラリア, 2013,5分)
ザ・ウーンド』 アンナ・ブダノヴァ(ロシア, 2013,10分)
フレンズ』 ナタリア・チェルヌショーヴァ(ロシア, 2014,5分)

A-AIR2015招へい作家プロフィールはこちら

第二部 特集上映
インディペンデント・アニメーション・フロム・アジア

注目すべきアジア圏6人のアニメーション作家が描く望郷と追憶の世界。
プログラム協力:土居伸彰

『パッシング』 イ・ソンジュン(韓国, 2009, 10分)
『ウルフ・イン・ザ・ツリー』 ジャー・シン・リン(中国, 2012, 10分)
『ローズ』 ナウルズ・パグィドポン(フィリピン, 2008, 5分)
『ザ・プレゼント』 ジョー・シェ(台湾, 2013, 15分)
『HORSE』 シェン・ジエ(中国, 2013, 5分)
『É in Motion no.2』 榊原澄人(日本, 2013, 12分)


日時と場所

<神戸>
日時:2015年2月20日(金曜日) 19:00-21:30(18:45開場)
会場:神戸アートビレッジセンター

神戸市兵庫区新開地5丁目3番14号 MAP
TEL: 078-512-5500

<京都>
日時:2015年2月21日(土曜日) 17:15-19:45(17:00開場)
会場:京都芸術センター

京都市中京区室町通蛸薬師下る山伏山町546−2 MAP
TEL: 075-213-1000

事前予約制・入場無料
2015年2月19日(木)までに、参加希望者のお名前(人数分)、参加会場(神戸 or 京都)、代表者のお電話番号をメールで rsv@japic.jp 宛にお知らせください
※予約なしの当日入場も可能ですが、予約いただければ確実にお席をご用意いたします。

お問い合わせ
JAPIC TEL: 03-6670-5676 / FAX: 03-5466-0054

主催:文化庁  共催:一般社団法人ジャパン・イメージ・カウンシル(JAPIC)、神戸アートビレッジセンター、京都芸術センター


作品解説

第一部
A−AIR2015招へい作家代表作品

『ファントム・リム』 アレックス・グリッグ (オーストラリア, 2013,5分)

交通事故の後遺症、幻肢痛(ファントム・リム)を克服しようとする若いカップル。ふたりの心情をシンプ ルで明るい配色のデザイン、ミニマムな構成で伝える。2014年カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル ヤング・ディレクター賞、第15回(2014年)広島国際アニメーションフェスティバル国際審査員特別賞などを受賞。上映後に作者のトークあり。

『ザ・ウーンド』 アンナ・ブダノヴァ (ロシア, 2013,10分)

少女の心の傷が生み出した毛むくじゃらの生き物は、少女の良き友人となるが、次第に彼女の人生を支配するようになる。作者の幼い頃の記憶を元に作られた美しい悪夢。2013年アヌシー国際アニメーション映画祭審査員特別賞、第15回(2014年)広島国際アニメーションフェスティバル優秀賞、第18回(2014年度)文化庁メディア芸術祭アニメーション部門大賞など多数受賞。上映後に作者のトークあり。

『フレンズ』 ナタリア・チェルヌショーヴァ (ロシア, 2014,5分)

大親友の毛虫とおたまじゃくし。蛙になったおたまじゃくしは、毛虫を探すが見つからない。蝶になっていた毛虫が必死に自分をアピールしているのだが、蛙は全く気づかない。作者は、デビュー作の『Snowflake(スノー・フレーク/雪のかけら)』が2013年ソフィア国際アニメーション映画祭グランプリ、2013年シカゴ国際児童映画祭新進作家賞など、さまざまな国際映画祭で評価された。2012年よりフランスのラ・プードリエールで学び、卒業制作として本作を制作。上映後に作者のトークあり。

第二部
インディペンデント・アニメーション・フロム・アジア

『パッシング』 イ・ソンジュン (韓国, 2009, 10分)

徴兵を経て、異国で募る祖国への郷愁を影絵で表現。アニメーテッド・ドリームス映画祭で上映 (2009)。日本初上映。

『ウルフ・イン・ザ・ツリー』 ジャー・シン・リン (中国, 2012, 10分)

森の中での赤頭巾と狼との秘密。少女は狼を誘惑したいのだが、狼はあまり関心がない。アヌシー国際アニメーション映画祭で上映 (2013)。

『ローズ』 ナウルズ・パグィドポン (フィリピン, 2008, 5分)

上海在住の作曲家、ポール・メレディスの曲に小さなアニメーションを加えた。香港で働くフィリピン人出稼ぎ労働者の儚い夢。日本初上映。

『ザ・プレゼント』 ジョー・シェ (台湾, 2013, 15分)

夜中、男がホテルにチェックイン。気づくと、オーナーの娘に唐突に思いを寄せられていた。ショックで怖くなった男は、早朝に逃げるようにチェックアウト。残された娘は愛情を憎悪に変えた。ファントーシュアニメーション映画祭で上映 (2013)。

『HORSE』 シェン・ジエ (中国, 2013, 5分)

エドワード・マイブリッジやエティエンヌ=ジュール・マレーもモチーフにした「瞬間」と「動き」を表象する馬を5つの断章で描く。オタワ国際アニメーション映画祭で上映 (2014)。日本初上映。

『É in Motion No.2』 榊原澄人 (日本, 2013, 12分)

どこかブリューゲルを連想する横スクロールの情景は、作家の原風景である十勝平野だそうだ。男の一生が風景の中で展開し、閉じてゆく。新千歳空港国際アニメーション映画祭で上映 (2014)。

平成26年度アジアにおける日本映画特集上映事業終了報告

2014年11月13日(木)に開幕した文化庁主催「新風再び! 日本映画とアニメーション2014」(平成26年度アジアにおける日本映画特集上映事業)は6日間の会期を終え、11月18日(火)に終了しました。

昨年度に続き、ベトナムの経済、文化の中心地であるホーチミン市での開催となった今回は、『舟を編む』をはじめとする日本映画、アニメーションの長短編作品35本を14プログラムで上映しました。入場者数は3,942人、客席占有率は昨年度の90.6%を上回る93.2%で、昨年度に続き、日本映画への高い関心を窺わせる結果となりました。

開幕式には女優のホン・アイン氏や女性監督のヴィエト・リン監督、アクション大作が公開中のクオン・ゴー監督など、ベトナムの映画関係者も多数来場し、開幕上映『舟を編む』を鑑賞。日本側ゲストと交歓しました。

日本から参加したゲストは池田史嗣氏(『舟を編む』プロデューサー)、西川美和氏(『ディア・ドクター』監督)、大森立嗣氏(『まほろ駅前多田便利軒』監督)、稲葉卓也氏(『ゴールデン・タイム』、『KURO』監督)、姫田真武氏(『ようこそぼくです』、『ようこそぼくです選』監督)、鋤柄真希子氏、松村康平氏(『やまなし』、『WHILE THE CROW WEEPS —カラスの涙—』監督)の7名で、舞台挨拶や質疑応答などを通じてベトナムの観客と交流しました。他に作品検討委員の勝田友巳氏(毎日新聞学芸部記者)、小出正志氏(東京造形大学教授)、渡辺祥子氏(映画評論家)も来場し、観客に対して作品の見所などの解説を行ないました。

映画館での上映以外にもホーチミン市師範大学越日文化教育センターの協力で、「驚き盤」制作ワークショップを開催。日本語学部の学生を中心に約100名が参加し、アニメーション作家の鋤柄真希子氏の指導のもと、映画発明以前の視覚装置を自ら制作することで、楽しみながら映画の仕組みを学びました。

開幕式で観客の前に並んだ日越のゲスト。左から渡辺祥子氏、ゴー・ロアン氏(プロデューサー)、ホン・アイン氏(俳優)、小出正志氏、ヴィエト・リン氏(監督)、姫田真武氏、池田史嗣氏、クオン・ゴー氏(監督)、大森立嗣氏、西川美和氏。(11月13日)

『舟を編む』上映での質疑応答、左から池田史嗣プロデューサー、ひとりおいて勝田友巳氏。(11月14日)

『ディア・ドクター』西川美和監督の質疑応答。司会は佐伯知紀文化庁主任芸術文化調査官。(11月14日)

『まほろ駅前多田便利軒』大森立嗣監督(左)の質疑応答。(11月15日)

「日本の新進アニメーション作家たち2」の質疑応答。左から姫田真武監督、稲葉卓也監督。(11月14日)

「日本の新進アニメーション作家たち2」の質疑応答。左から松村康平監督、鋤柄真希子監督。(11月16日)

「驚き盤」制作ワークショップの参加者。

「驚き盤」制作ワークショップ制作風景(11月17日)

チケット発券日(11月9日)にできた行列。

「アニメーション・アーティスト・イン・レジデンス東京2015」招へい者3名決定のお知らせ

9月10日に締め切りました平成26年度海外メディア芸術クリエイター招へい事業「アニメーション・アーティスト・イン・レジデンス東京2015」の招へい者3名が決定いたしましたので、お知らせします。
本事業は、メディア芸術の振興に向けた取り組みの充実を図るため、海外の優れたクリエイターを招へいし、メディア芸術における国際交流を推進するとともに、交流機会を通じた国内クリエイターの育成を促し、もって我が国のメディア芸術水準の向上と発展に資することを目的とした文化庁委託事業「海外メディア芸術クリエイター招へい事業」として実施するもので、昨年度に引き続き、一般社団法人ジャパン・イメージ・カウンシルが本事業を受託して運営しています。
本年度は平成26年7月1日から9月10日までの期間に、満20歳以上35歳以下の全世界のメディア芸術クリエイターを対象に募集し、61カ国から250件の応募がありました。予備審査会、第1次選定委員会、最終選定委員会を経て決定した招へい者は、平成27年1月7日から3月17日までの70日間、東京に滞在し、期間中、新作の制作を進めると同時に、研修会、上映会、あるいはスタジオやアニメーション作家のアトリエ見学、教育機関との交流など、さまざまなプログラムに参加する予定です。

招へい者(性別/国籍/年齢) ※年齢は平成27年1月7日時点

アレックス・グリッグ Alex GRIGG (男性/オーストラリア/27歳)
アンナ・ブダノヴァ Anna BUDANOVA (女性/ロシア/26歳)
ナタリア・チェルヌショーヴァ Natalia CHERNYSHEVA (女性/ロシア/30歳)

※詳細については、一般社団法人ジャパン・イメージ・カウンシルあてにお問合せください。
<問合せ先>
一般社団法人ジャパン・イメージ・カウンシル
電話:03-6670-5676 FAX:03-5466-0054 ホームページ http://japic.jp/


招へい者プロフィール

アレックス・グリッグ Alex GRIGG (男性/オーストラリア/27歳)

1987年生まれ。2008年グリフィス大学クイーンズランド・カレッジ・オブ・アート卒業。オーストラリアとヨーロッパの様々なスタジオでアニメーターおよびデザイナーとしての経験を重ね、2013年にインディペンデント・アニメーション作家の共同組織「Late Night Work Club」に参加する。そこで制作した『Phantom Limb(幻肢)』が2014年カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル ヤング・ディレクター賞、第15回(2014年)広島国際アニメーションフェスティバル国際審査員特別賞などを受賞。
作家ウェブサイト www.alexgrigg.com

Phantom Limb

Phantom Limb


作品歴
2013 『Phantom Limb(ファントム・リム/幻肢)』
2014 『Tower Block(タワー・ブロック)』

滞在制作の企画概要
『In My Bones(イン・マイ・ボーンズ/私の骨の中)』:骨と肉の関係を描く。骨と肉は日中、一人の人間として普通に過ごすが、夜になると骨は肉を離れ、生まれながらのパートナーから鞍替えする方法を探して、あてもなく街をぶらつく。従来の手描きとデジタルによる手法を組み合わせて制作する予定。



アンナ・ブダノヴァ Anna BUDANOVA (女性/ロシア/26歳)

1988年生まれ。2011年ウラル州立大学美術・建築アカデミー卒業。在学中より美術あるいはアニメーターとして様々な映画の製作に携わる。デビュー作の『The Wound(ザ・ウーンド/傷)』が2013年アヌシー国際アニメーション映画祭審査員特別賞、第15回(2014年)広島国際アニメーションフェスティバル優秀賞、第18回(2014年度)文化庁メディア芸術祭アニメーション部門大賞など多数受賞。

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The Wound


作品歴
2013年 『The Wound(ザ・ウーンド/傷)』

滞在制作の企画概要
人々が海岸で伝説の怪物に出会うが、それは溺れた人々の魂が姿を変えたものだったという、スカンジナビア海岸地帯の古い伝説を元にした作品を制作。手描きの2Dアニメーションの予定。



ナタリア・チェルヌショーヴァ Natalia CHERNYSHEVA(女性/ロシア/30歳)

1984年生まれ。ウラル州立大学美術・建築アカデミーでグラフィックとアニメーションを学ぶ。幾つかのアニメーション映画にアニメーター等で関わり、デビュー作の『Snowflake(スノー・フレーク/雪のかけら)』が2013年ソフィア国際アニメーション映画祭グランプリ、2013年シカゴ国際児童映画祭新進作家賞など、さまざまな国際映画祭で評価される。2012年よりフランスのラ・プードリエールで学び、卒業制作として『Friends(フレンズ/友達)』(2014)を制作。
作家ウェブサイト http://cher-nata.blogspot.fr

Friends

Friends


作品歴
2012 『Snowflake(スノー・フレーク/雪のかけら)』
2013 『The Return(ザ・リターン/再会)』
2014 『Friends(フレンズ/友達)』

滞在制作の企画概要
『Lace-Maker(レース・メーカー/レース編み)』:ある家に住みついた小さなクモはハエを捕るだけの毎日を送っていたが、ある時老婦人が作るレース編みの魅力的な世界に心を奪われてしまい、クモの世界観が一変する物語。日本の書道と版画の技術を採り入れ、手描きの2Dアニメーションを制作する。