「アニメーション・アーティスト・イン・レジデンス東京2015」プログラム終了報告

平成26年度海外メディア芸術のクリエイター招へい事業「アニメーション・アーティスト・イン・レジデンス東京2015」で、平成27年1月7日に来日したアレックス・グリッグ(オーストラリア)、アンナ・ブダノヴァ(ロシア)、ナタリア・チェルヌショーヴァ(ロシア)の三名の招へいアーティストは、70日間の滞在を終え、3月17日に帰国しました。東京滞在中は、それぞれの作品の制作を行ないつつ、予定されたさまざまな研修プログラムや交流プログラムを精力的にこなしました。研修プログラムとしては、指導監督者に講評を受ける研修会(3回)、アニメーション作家アトリエ訪問(1回)、制作プロダクション見学(1回)が行なわれました。また、交流プログラムとしては、文化庁メディア芸術祭や恵比寿映像祭内覧会などへの参加(2回)、教育機関での学生との交流(2回)、神戸、京都における上映&企画プレゼンテーション(各1回)と成果発表会が組まれ、自作の上映や滞在制作作品の紹介を行ないながら、多くの日本人アニメーション作家や映像作家、映像関係者との交流および親睦を深めました。制作中のそれぞれの作品(アレックス・グリッグ『Into the Heart of the Sun』、アンナ・ブダノヴァ『Among Black Waves』、 ナタリア・チェルヌショーヴァ『Cobweb』)は、各招へいアーティストが帰国後に完成を目指します。なお、指導監督は、木船園子氏(東京工芸大学芸術学部アニメーション学科教授、アニメーション作家)、古川タク氏(アニメーション作家、イラストレーター、日本アニメーション協会会長)、山村浩二氏(東京藝術大学大学院教授、アニメーション作家) が担当しました。以下にその経過をご報告します。

「アニメーション・アーティスト・イン・レジデンス東京2015」 招へい者3名>>


1月10日(土)
第1回研修会
指導監督(木船園子氏、古川タク氏、山村浩二氏)及び佐伯知紀文化庁主任芸術文化調査官と招へいアーティスト3名の初会合


1月16日(金) 場所:文化庁
青柳正䂓文化庁長官を訪問
青柳正䂓文化庁長官を訪問し、挨拶。長官はコンピューターを使ったアニメーションの制作方法や制作日数、東京滞在で手がける作品のテーマ、タイトルの意味などを次々と問いかけ、「東京滞在を存分に楽しんで、いろいろな日本の文化に触れて下さい。その成果を楽しみにしています」と励ました。


1月17日(土)
ヤマムラ・アニメーション訪問
山村浩二氏(東京藝術大学大学院教授/アニメーション作家)のアトリエを訪問。山村氏の過去作品の原画やイラストレーション作品を通して、素材、作画方法についての解説を受けたほか、実例を参照しながらアニメーション制作ソフトをどのように活用して画面を構成しているかについて詳細なレクチャーを受けた。


1月18日(日) 場所:東京藝術大学万国橋校舎
東京藝術大学大学院映像研究科アニメーション専攻訪問
東京藝術大学大学院映像研究科アニメーション専攻の学生約15名に対して、招へいクリエイターの過去作品の上映、企画プレゼンテーション、質疑応答などを行なった。さらに、大学院生の1年次作品および修了作品試写を鑑賞、意見交換をした。招へいクリエイターは学生の作品から制作中の作品のアイデアを得た。


1月22日(木) 場所:東京工芸大学中野キャンパス
東京工芸大学アニメーション学科訪問
東京工芸大学アニメーション学科の学生および教員約10名に対して、招へいクリエイターの過去作品を上映、企画プレゼンテーション、質疑応答を行った。過去作品のストーリーをどのように作り上げていったかなど、具体的な質問が多く寄せられた。終了後は会場となった「マイブリッジ・シアター」の11.1ch立体音響を体験。学生が利用する制作スタジオや音響スタジオを見学した。


2月2日(月)
第2回研修会
アーティスト3名がスケッチやテスト動画などを使って、企画の進行状況をプレゼンテーションした。具体的な素材が提示されたことで、指導監督との間により活発な質問やアドバイスが交わされた。


2月3日(火)場所:国立新美術館
第18回文化庁メディア芸術祭内覧会、贈呈式、祝賀会に参加
文化庁メディア芸術祭の内覧会で作品を鑑賞した。その後の贈呈式、祝賀会に参加。招へいクリエイターのアンナ・ブダノヴァ氏は本事業で選考対象となった作品『ザ・ウーンド』がアニメーション部門大賞を受賞した。祝賀会では、国内外のアニメーション作家や映画祭プログラマーと挨拶及び意見を交わし、日本において多くの知人を得る機会となった。


2月18日(水)
株式会社ロボット訪問
自社でアニメーション作家を抱え、商業アニメーションだけでなく、アート・アニメーションも制作し続ける株式会社ロボットのオフィスを訪問。様々な制作セクションや、アニメーション作家稲葉卓也氏の仕事現場を具体的な説明を受けながら見学した他、バラエティに富んだこれまでの作品ショーリールを鑑賞。アニメーション作家野村辰寿氏、松本絵美プロデューサーら株式会社ロボットの方々と様々な意見交換が行なわれた。


2月20日(金)19:00〜22:30 場所:神戸アートビレッジセンター
世界のインディペンデント・アニメーション2015(神戸)
招へいクリエイターの選考対象となった近年の制作作品を上映し、制作過程にある滞在制作作品のプレゼンテーションを行ったほか、「インディペンデント・アニメーション・フロム・アジア」と題したアジアの新進アニメーション作家6名の作品上映、招へい者の自国アニメーション事情のレクチャーも行なった。終了後には、関係者や来場者との交流も行われ、熱心な意見交換があった。


2月21日(土)17:15〜20:45 場所:京都芸術センター
世界のインディペンデント・アニメーション2015(京都)
前日の神戸会場と同様のプログラムを実施した。その後の交流会で参加者との意見交換を行なった。


2月26日(木)場所:恵比寿ガーデンホール
第7回恵比寿映像祭内覧会、レセプション参加
展示作品を鑑賞し、オープニング・レセプションに参加。国内外から集まった映像作家、現代美術作家や、日本の映像関係者、キュレーターらと交流した。


3月4日(水)
第3回研修会
アーティスト3名は最終的な完成計画を説明、指導監督者からアドバイスを受けるとともに、成果発表会に向けたプレゼンテーションの準備も行なった。


3月14日(土)15:00〜20:10 会場:青山学院アスタジオ
成果発表会
本事業の経過報告と滞在期間における成果発表を行う目的で「世界のインディペンデント・アニメーション2015」と題して成果発表会を開催した。神戸、京都での上映&企画プレゼンテーションの内容に加え、招へいクリエイター3名がそれぞれ滞在中に制作した映像を上映し解説を行い、最後に指導監督者3名が招へいアーティストの指導にあたった感想を交えながら本年度の本事業を総括した。指導監督者の総評後は、別室で交流会を実施し、招へいクリエイターは参加者と意見交換を積極的に行なった。


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