「アニメーション・アーティスト・イン・レジデンス東京2014」プログラム終了報告

平成25年度海外メディア芸術クリエイター招へい事業「アニメーション・アーティスト・イン・レジデンス東京2014」で、平成26年1月上旬に来日したミヒャエル・フライ(スイス)、オフラ・コブリネル(イスラエル)、トマーシュ・ポパクル(ポーランド)の三名の招へいアーティストは、70日間の滞在を終え、3月17日に帰国しました。東京滞在中は、それぞれの作品の制作を行ないつつ、予定されたさまざまな研修プログラムや交流プログラムを精力的にこなしました。研修プログラムとしては、指導監督者に講評を受ける研修会(3回)、アニメーション作家アトリエ訪問(1回)、制作プロダクション見学(3回)が行なわれました。また、交流プログラムとしては、文化庁メディア芸術祭や恵比寿映像祭内覧会などへの参加(2回)、教育機関での学生との交流(1回)、神戸、京都における上映&企画プレゼンテーション(各1回)と成果発表会が組まれ、自作の上映や滞在制作作品の紹介を行ないながら、多くの日本人アニメーション作家や映像作家、映像関係者との交流および親睦を深めました。制作中のそれぞれの作品(ミヒャエル・フライ『KIDS』、オフラ・コブリネル『SHIKA(鹿)』、 トマーシュ・ポパクル『BLACK』)は、各招へいアーティストが帰国後に完成を目指します。なお、指導監督は、木船園子氏(東京工芸大学芸術学部アニメーション学科教授、アニメーション作家)、 野村辰寿氏(多摩美術大学美術学部グラフィックデザイン学科准教授、アニメーション作家)、古川タク氏(アニメーション作家、イラストレーター、日本アニメーション協会会長) が担当しました。以下にその経過をご報告します。

「アニメーション・アーティスト・イン・レジデンス東京2014」 招へい者3名>>


写真記録

1月11日(土)
第1回研修会
指導監督(木船園子氏、野村辰寿氏、古川タク氏)及び佐伯知紀文化庁主任芸術文化調査官と招へいアーティスト3名の初会合


1月25日(土)
ヤマムラ・アニメーション訪問
山村浩二氏(東京藝術大学大学院映像研究科アニメーション専攻教授/アニメーション作家)のアトリエを訪問。実際の作業スペースで、作品制作過程、素材などについての解説を受けた他、過去の主要作品の抜粋映像を鑑賞しつつ、山村氏の独自の制作スタイルと創作に対する考え方について話を聞いた。


2月3日(月)
第2回研修会
アーティスト3名がスケッチやテスト動画などを使って、企画の進行状況をプレゼンテーションした。具体的な素材が提示されたことで、指導監督との間により活発な質問やアドバイスが交わされた。また、今回のプレゼンテーションは2月21日、22日に予定されている関西での上映&企画プレゼンテーションの予行も兼ねたものとなった。


2月4日(火)場所:国立新美術館
第17回文化庁メディア芸術祭内覧会、贈呈式、祝賀会に参加
国内外のアニメーション作家や映画祭プログラマー、文化庁関係者と交流し、多くのアニメーション関係者と知己を得る機会となった。


2月6日(木)場所:東京都写真美術館
第6回恵比寿映像祭内覧会、レセプション参加
展示作品を鑑賞し、オープニング・レセプションに参加。国内外から集まった映像作家、現代美術作家や、日本の映像関係者、キュレーターらと交流した。


2月17日(月)
ROBOT CAGE訪問
自社でアニメーション作家を抱え、商業アニメーションだけでなく、アート・アニメーションも制作し続けるROBOT CAGEのオフィスを訪問。様々な制作セクションの現場を具体的な説明を受けながら見学した他、バラエティに富んだこれまでの作品及び稲葉卓也氏の最新作『ゴールデンタイム』を鑑賞。アニメーション作家、稲葉卓也氏と坂井治氏及び株式会社ロボットのプロデューサーの方々と様々な意見交換が行なわれた。


2月18日(火)
東京藝術大学大学院映像研究科アニメーション専攻訪問
東京藝術大学大学院映像研究科アニメーション専攻の学生約20名に対して、招へいクリエイターの過去作品の上映、企画プレゼンテーション、質疑応答などを行なった。さらに、大学院生の1年次作品および修了作品試写を鑑賞、意見交換をした。招へいクリエイターは学生の作品から制作中の作品のアイデアを得た。


2月19日(水)
スタジオ4℃訪問
招へいクリエイター、トマーシュ・ポパクルの要望で、『鉄コン筋クリート』や『マインドゲーム』などアニメーションを主体とした映像作品を手がけるスタジオ4℃を訪問。監督のマイケル・アリアス氏、キャラクター・デザインの西見祥示郎氏及び美術監督の木村真二氏に、『鉄コン筋クリート』のクリエイションを中心に、オリジナルの背景画などを見ながら話を聞き、また、スタジオの現場の制作環境についても具体的な解説を受けた。


2月21日(金)18:30〜21:00 場所:神戸アートビレッジセンター
世界のインディペンデント・アニメーション2014 in 関西(神戸)
神戸アートビレッジセンターとの共催で、招へいアーティスト3名の作品上映及び企画プレゼンテーションを実施。その後の交流会で参加者と意見交換を行なった。


2月22日(土)16:00〜18:30 場所:京都芸術センター
世界のインディペンデント・アニメーション2014 in 関西(京都)
京都芸術センターとの共催で、招へいアーティスト3名の作品上映及び企画プレゼンテーションを実施。その後の交流会で参加者との意見交換を行なった。


2月24日(月)
IKIF+スタジオ訪問
IKIF(木船園子氏、木船徳光氏)の二人から「キングダム」第2シリーズや『イノセンス』など主要作品のメイキング映像、抜粋映像等を通して制作スタイルについて解説を受けた。また、スタジオ内の各セクションの部屋を見学し、制作体制について解説を受けるとともに、若手制作スタッフの方々とも交流した。


3月7日(金)
第3回研修会
アーティスト3名は最終的な完成計画を説明、指導監督者からアドバイスを受けるとともに、成果発表会に向けたプレゼンテーションの準備も行なった。


3月14日(金)17:00〜20:20 会場:青山学院アスタジオ
成果発表会
一般観客の他、アニメーション関係者、文化関係者を招待し、青山学院アスタジオで開催。佐伯知紀文化庁主任芸術文化調査官の事業説明、池田裕之一般社団法人ジャパン・イメージ・カウンシル事務局長の経過報告に続き、招へいクリエイター3名がそれぞれ滞在中に制作した映像を上映し、解説を行なった。それに対し、指導監督者3名(木船園子氏、野村辰寿氏、古川タク氏)が招へいクリエイターの指導にあたった感想を交えながら総評を行なった。


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